・そもそも血圧とは何か?ですが、血圧とは、全身に酸素や栄養豊富な新鮮な血液を、心臓のポンプ作用によって全身に送り出すときに生じる「血管にかかる圧力」のことです。血圧も一日内や季節によって変動します(夏よりも冬が高めになります)。その血圧が高くなりすぎてしまうのが、高血圧症です。日本の高血圧患者は、全体として約4,300万人いると推定されており、日本人のおよそ3人に1人が高血圧という状況です。もはや国民病といっても言い過ぎではないでしょう。
・高血圧には、原因がはっきり分からない「本態性高血圧」と腎臓やホルモン異常などが原因で起こる「二次性高血圧」があります。二次性高血圧の場合は原因疾患を先に治療する必要性があります。ただ、高血圧の大部分は本態性高血圧です。
・どのくらい以上血圧が高くなると高血圧症と診断されるかですが、診察室での高血圧の診断基準は、140/90mmHg以上。診察で高血圧となった場合、家庭で血圧を測定します。家庭血圧の診断基準は、135/85mmHg以上。起床後と就寝前に2回ずつ測定し、朝と夜それぞれの平均値を出し、家庭血圧の診断基準を超えていると高血圧と診断されます。診察の際測定する血圧のみではしっかりとした血圧コントロールを行うのは困難ですし、「白衣高血圧」といって医師や看護師の前では血圧が高くなってします人もいます。
・高血圧であっても自覚症状がないことも多く、健診などで「高血圧」と判断されても、放置されるケースも多いと考えられます。しかし、「症状がないから放置していい」という訳ではありません。放置することで、血管には高い血圧による負担がかかるため、血管の弾力性が損なわれ、「動脈硬化」を引き起こします。動脈硬化は徐々に進行し、血管が狭くなり血流が悪くなります。それにより、脳梗塞や脳出血脳、心筋梗塞を引き起こすリスクが高まります。また、腎臓にも負担がかかり、慢性腎臓病の原因ともなります。
・治療は、やはり生活習慣の改善が第一です。肥満や運動不足の改善や禁煙も重要です。高血圧の治療薬は様々な種類があり、様々な効き方をする治療薬を2種類以上組み合わせて内服することもあります。ただ、生活習慣を改善するだけでも高血圧が改善する場合もあります。また、「どこまで血圧を下げるか?」に関しても様々です。年齢や他に生活習慣病がないか(特に糖尿病)、脳卒中や心筋梗塞などの既往がないか、腎機能はどうかなどで変わってきます。患者さんの背景なども鑑みたうえでの治療計画が必要となります。
・これだけ多くの患者さんがいる高血圧。気になるようでしたら、ご家庭で定期的に血圧測定することをお勧めします。様々な測定器具がありますが、日本高血圧学会は「腕で測るタイプの血圧計」で測定するよう推奨しています。