・文字通り、「寝ている間に一時的に呼吸が弱くなっている・止まっている状態になる」病気です。2000年代初頭の電車事故で一般でも広く認知されるようになった印象があります。空気の通り道である上気道が狭くなることが原因で起こります。
首周りの脂肪が多いと狭くなりやすいので、肥満は典型的な原因となります。ただし、扁桃腺肥大や鼻中隔湾曲症といった耳鼻科的なことが原因であったり、あごの位置や形状も影響することもあるので、痩せた方でもSASになる可能性はあります。
・症状としては、夜間のいびきや呼吸の停止、あえぐような呼吸、起床時の頭痛・喉の痛み、のどが渇く、寝ている間に何度も起きる、昼間の耐えがたい眠気、集中力の低下などがあります。また、SASは高血圧症の隠れた原因であることもありますし、脳卒中や心筋梗塞発症のリスクにもなります(通常の3~4倍ほど高くなります)。
・診断は、あごなどの診察以外に、「日中どのような時にうとうとするか?」を問診・点数化するESS問診票や症状などから、SASの存在が疑われるようなら、睡眠中の呼吸やいびきなどの状態を検査する簡易検査(アプノモニター)を自宅で睡眠する際に行って頂きます。その結果、睡眠中に1時間中5回以上無呼吸・低呼吸を認め、かつ症状もある場合、SASの診断となります。更に精密検査(ポリソムノグラフィー:PSG)を行う場合、他院にて一晩入院して行うことになりますので、その際は他医療機関を紹介させて頂きます。
・治療は、上気道が狭くなっている原因に対する治療が必要です。耳鼻科的な問題があれば、耳鼻科を紹介させて頂きます。また、肥満が原因の場合は、減量が必要です。また、原因もすぐに改善できない場合もありますので、必要であればCPAP装置(マスクによる呼吸補助)の装着も行います。
・SASの治療に用いるCPAP装置ですが、ご覧頂くと分かるように、当初は「こんなもの、着けて寝られるかよっ!!」と思われる方がほとんどです。ただ、装着して寝て頂くと、充実した睡眠が得られるようになり、明らかに生活の質が改善します。そうなると、患者さんも装置を手放せなくなるくらい、しっかりと装着してくださいます。ただ、肥満の方は、やはりしっかりと減量することはもちろん必要です。