荒田八幡-せきと呼吸と内科のクリニック|呼吸器内科・内科

荒田八幡-せきと呼吸と内科のクリニック|呼吸器内科・一般内科

長引く咳(慢性咳嗽(まんせいがいそう))

・咳はよくある症状ですが、持続するとかなりの疲労・ストレスを伴う症状です。1~2週間も続くようになると、体力消耗も激しく、咳の影響で肋骨を骨折してしまうこともあります(私も以前気管支喘息発作の20代の患者さんで、左右合わせて数本の肋骨骨折を合併している方を診察したことがあります)。

また、睡眠不足になるなど生活の質を落とす原因にもなります。咳の原因は、呼吸器疾患以外にも、食道・鼻・喉・心臓などが原因で起こる咳もあります。また、痰が絡む咳(湿性咳嗽)と痰が絡まない咳(乾性咳嗽)の2種類に区別され、それぞれ様々な原因が考えられます。

・「長引く咳(慢性咳嗽)」とは、どれくらい続いた咳でしょう?咳は1週間も継続すると、大変長く辛い症状です。しかし、医学的には3週間以内の咳は急性咳嗽、3~8週で遷延(せんえん)性咳嗽、8週以上継続する咳を慢性咳嗽といいます。ただ、普通はこんなに辛い症状を8週間も我慢して受診される方はほとんどいらっしゃいません。

当然です。咳の持続する期間でも原因が推測できるのですが、急性・遷延性咳嗽の場合はウイルス感染などによる感冒や急性上気道炎による咳や感冒後遷延性咳嗽といった感染症に関連した咳嗽が多い傾向にあります。それ以降、咳の続く期間が長くなるにつれ、感染症の占める割合は減少する傾向にあります。

・原因診断の第一歩でありかつ最も重要な点は「重篤な疾患、緊急性の高い疾患が原因でないか?」を調べることです。例えば、肺がん、細菌性肺炎、肺結核、間質性肺炎、心不全、肺血栓塞栓症などの疾患が存在していないかのチェックです。胸部レントゲン検査や必要あれば胸部CTなどの画像診断で判断することがほとんどです。この「重篤な疾患、緊急性の高い疾患が存在しない」ことを確認してから、その他の原因を診断していきます。

・原因診断で、次に大事なことは問診です。「何かきっかけは?」、「これまでも同様の症状があったことはないか?」、「咳の続く期間」、「痰が絡む咳か?」、「咳が出る時間帯」、「咳以外の症状の有無」、「(咳に対して)どんな治療が効果あったか?」、「他に治療を受けている疾患はないか?」などをコツコツ問診していきます。また、胸部聴診やその他の検査なども組み合わせ、場合によっては「この疾患が考えられるから、治療をしてみて効果がでるかみてみる」という治療への反応性をみて診断につなげることもあります。

・そんな「長引く咳」の原因ですが、咳喘息(せきぜんそく)、アトピー性咳嗽(がいそう)、後鼻漏(こうびろう)・副鼻腔気管支症候群(蓄膿症の影響)、感冒後遷延性咳嗽(風邪の後咳だけ長引く状態)、胃食道逆流症(逆流性食道炎)、喫煙による慢性気管支炎など様々な原因があり、治療もそれぞれ異なります。

・「長引く咳」の原因診断・治療は、根気強く問診を行ったり、胸部聴診をしっかり行ったりした地道なものですが、治療がバッチリ効果あった時は、患者さんも医者自身も、本当に気持ちいい瞬間だと感じます。

「長引く咳」は呼吸器内科医の頑張りどころです。是非、お気軽に相談・受診してください。
お気軽にご相談ください。TEL: 099-297-4600
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